オンライン展示会と食品業界のマーケティング戦略
近年、デジタル化の進展と新型コロナウイルスの影響を受けて、オンライン展示会が急速に普及しています。特に食品業界はこの波に乗り遅れるわけにはいきません。新型コロナウイルスの影響でリアルなイベントが中止・延期される中、オンラインでのビジネス活動が一層重要となり、食品業界でも新しい取引先や消費者層を探るための手段として、オンライン展示会が注目されています。
目次[非表示]
- 1.オンライン展示会と食品業界
- 2.食品業界におけるオンライン展示会の現状
- 3.オンライン展示会を開催するメリット
- 3.1.アクセスの拡大
- 3.2.費用対効果
- 3.3.マーケティングデータの収集
- 4.開催にあたり理解しておくこと
- 5.オンライン展示会におすすめの食品ジャンル
- 5.1.健康食品
- 5.2.オーガニック食品
- 5.3.サステナビリティ食品
- 5.4.産地限定食品
- 5.5.海外輸出食品
- 6.今後の展望
- 7.まとめ
オンライン展示会と食品業界
オンライン展示会は、インターネットを用いた仮想の展示場で、製品やサービスを広め、商談を行う新しい形のイベントです。食品業界においては、これは特に親和性があり、地方の特産品からグローバルブランドまで、多様な商品がオンラインで簡単に紹介できるため、新しい顧客層を開拓する大きなチャンスとなります。
食品業界におけるオンライン展示会の現状
食品業界がオンライン展示会を必要とする背景には、いくつかの要素があります。まず、市場は常に変化しており、新しい製品やコンセプトが続々と登場しています。オンライン展示会は、新製品の紹介をより多くの人々に効率的に行う場となります。 オンライン展示会はブランディングにも寄与します。物理的な制限がないため、世界中からの参加が可能です。これは、特に地域ブランドや特定の食品を海外に広めたい場合に有利です。さらに、オンライン展示会では独自のコンテンツやプレゼンテーションを用意することで、ブランドイメージを一層高めることができます。 また、販売チャネルの拡大にも貢献します。オンライン展示会に参加することで、BtoBの取引先だけでなく、最終的な消費者にも直接アプローチできる機会が増えます。その結果、多様な販路が開かれ、ビジネスの拡大が期待できます。
オンライン展示会を開催するメリット
オンライン展示会の開催は、企業にとって見込み客と接点を持てる機会を提供し、時間とコストの大幅な削減を可能にします。このプラットフォームは、革新的な製品やサービスを効果的に展示し、幅広いオーディエンスにリーチする新しい手法を提供します。
アクセスの拡大
食品業界は地域性が強く、特定の地方品が全国に知られる機会は限られますが、オンライン展示会なら地域を問わず多くの人にアクセスしてもらえます。
費用対効果
実際の展示会では、出展料や、ブース装飾費用、製品搬入、搬出費用がかかります。また、展示会では、不特定多数の来場者に対して、サンプリングや試食を行い営業が一般的なため今後クライアントになる見込みがないような来場者に対しても営業活動を行う必要があります。オンライン展示会では、来場者自らが自社のオンラインブースに来場(アクセス)してくるため興味関心は比較的高めと推測できます。
マーケティングデータの収集
リアル展示会で獲得できるデータは、名刺交換をした際の名刺上のデータとヒアリング情報のみとなります。オンライン展示会では、来場者の行動データや興味関心を測るデータを収集することができ、今後の商品開発やプロモーションに活かすことができます。
開催にあたり理解しておくこと
オンライン展示会では五感による体験が制限されることが食品業界にとって大きな課題です。たとえば、新製品の市場投入に際しては、試食を通じた味の評価が不可欠ですが、オンラインではそのような直接的な体験ができません。また、食品の香りや食感は品質を判断する重要な要素であり、これもオンラインでは十分に伝えることが難しいです。さらに、食品の色やビジュアルは消費者の購買意欲に影響を与えるため、その点でもオンライン展示会の限界があることを理解することが重要です。
オンライン展示会におすすめの食品ジャンル
オンライン展示会は食品業界においても、新たな味やトレンドを世界中に紹介する絶好の機会を提供します。特に、健康志向や地域性を反映したユニークな商品は、デジタルショーケースで注目を集めやすいジャンルと言えるでしょう。
健康食品
オンライン展示会では、健康食品が特に注目されています。これは、消費者がより健康志向になっているため、新しい健康食品に対する興味が高まっているからです。また、健康食品は説明が必要な商品が多く、オンラインで詳細な情報提供が可能なため、展示効果が高いです。
オーガニック食品
オーガニック食品もまた、オンライン展示会での人気があります。特に、若年層や環境意識の高い消費者からの支持を受けています。オーガニック認証のプロセスや農法についての情報を緻密に提供することで、高い信頼性と品質をアピールできます。
サステナビリティ食品
環境負荷の低いサステナビリティ食品は、特に企業のCSR活動や環境保護に興味を持つ消費者に受けが良いです。オンライン展示会では、その生産プロセスやエコフレンドリーなパッケージングについて詳しく説明することが可能です。
産地限定食品
産地限定食品は、その地域特有の風味や文化を代表する商品であり、オンライン展示会では特に注目を集めます。多くの場合、その産地の特性やストーリーを交えながら商品を紹介することで、消費者の興味を引くことができます。
海外輸出食品
国際的に展開している食品や、海外市場で成功を収めている食品は、そのユニークな特性や高い品質が評価されます。オンライン展示会は、地域を問わず多くの人々に商品を紹介できるため、海外輸出品にとっては特に有用なプラットフォームです。
今後の展望
ウェブマーケティングがより一層注目されている昨今で、オンライン展示会のニーズは一段と高まっています。とはいえ、食品業界特有の課題も存在しており、食品は通常、五感で体験されるものであり、この点がオンライン商談を一定程度敬遠させる要因ともなっています。
しかし、オンライン展示会の戦略を変えることで、このギャップを埋める可能性も広がっています。具体的には、成約を直接の目的とするのではなく、次回の商談のアポイントや質の高いリードの獲得を主な目的とすることで、これまで手が届かなかったターゲット層に対する新たなアプローチが可能になります。
まとめ
このようにして、オンライン展示会は食品業界においても有用なツールとして進化しているのです。将来的には、テクノロジーの進展やマーケティング戦略の洗練によって、五感での体験に限りのあるオンライン空間でも、食品の魅力を十分に伝え、より多くの人々と接点を持つことが期待されます。